
佐藤
設立が1969年と、ITシステム関連会社としてはかなりの老舗ですね。
志藤
会社設立当初は、不動産業を行なっていました。業務のひとつとしてローン返済のプログラムをつくったことがきっかけで、パソコンショップを立ち上げました。「これからはパソコンの時代になる」というのが、創業者である現会長の読みでした。83年当時、パソコン専門店は少なく秋葉原や横浜、八王子などへ次々と多店舗展開をし、法人の顧客もかなり獲得することができ、85年にはソフトウエアの受託開発も始めました。ところが90年代になると、低価格を売りにする家電量販店がパソコンを扱うようになり、またパソコンの価格自体も随分下がってきました。そこで、これからは店舗でハードを売るのではなくインターネットを使ってモノを売る時代になるだろうと予測したのです。早速、ウェブ上で商品を紹介する「特価COM」を開設し、インターネット通信販売を始めました。開設前に外販営業部門を開設し、ネットワーク構築保守サービスも開始していましたから、販売やネットサービスについてのノウハウをきちんと蓄積できていたことが成功の鍵になったと思います。
佐藤
パソコン通信販売がこれほど普及すると、80年代当時に予測できた人は少なかったと思います。
志藤
当時パソコンといえば一部のマニアのものでしたが、82年にNECから漢字が使えるパソコンが発売されたのです。このことがターニングポイントになりました。それまで漢字が使えず文書作成といえばワープロだったものが、パソコンへと移行し始めました。これが、文字通りコンピューターがパーソナルなものになる大きなキッカケとなりました。
ネット販売のノウハウを生かした「ecbeing」
佐藤
企業向けパッケージソフトを多く開発されています。ユーザーニーズについて教えてください。
林
2000年に「ecbeing」というソフトを発売し大ヒットとなり、以後10年間シェアナンバーワンの座を保っています。弊社は自ら「特価COM」を開設して販売してきましたので、どういう見せ方(紹介の仕方)をすればお客さんがサイトを覗いてくれるのか、物流をスムーズに行なうシステムはどのようなものか、より効率的な対応の仕組みは何か、クレーム処理はどのようにすればよいのかなどの独自のノウハウを持っています。これらのノウハウを随所に生かしているので、とても使いやすいのだと思います。また、IT企業には珍しく、直接顧客に対応する営業社員を80名抱えています。顧客の「生の声」をいつも聞いていますから、よりニーズに合ったノウハウを提供できていると思います。
佐藤
ネット販売のノウハウを伝授し、個別にコンサルティングもしてくださるということですか?
林
例えば、単にシステム開発ならば、顧客の方が「こんなものが欲しい」という仕様書を提示し、それに沿ったものをつくればいいのです。しかしながら、ネット販売はまったく新しいビジネス方法でしたので、顧客の方自体がどうしたらいいのかイメージできていません。そこで、こちらが「こういう見せ方はどうですか?」といったような提案をします。あるアパレルメーカーのサイトでは、初めはブランド別の商品紹介をしていました。そこで、アイテム別の紹介に変えてはどうかという提案をしたことがあります。それは「スカートが欲しいな」と思ってログインしてくださってもブランド別になっていると、初めに見たブランドで欲しいスカートがないとログアウトしてしまう可能性が高くなるからです。その点、アイテム別になっていれば選択肢が多く、欲しいものが見つかる可能性が高くなり、買ってくれる確率も上がります。実際に弊社のノウハウ提供で、8割も売上がアップした事例もございます。

佐藤
ノウハウひとつで、随分と売上が変わるのですね。
志藤
昔のマーケティングスタイルは、「いいものを作れば必ず売れる」といったプロダクトアウトの考え方でした。しかし現在のネット販売では、いくらいいものをつくっても、お客さんの目に留まらなければ売れませんし、たとえ目に留まっても、「欲しい」という思いになってもらわなければ売れません。これが「マーケットイン」の販売方法で、お客さんは何が欲しいのか、どんなものに引かれるのか、どうしたら目を引くことができるのか、あるいはどのようなことが不安で、その不安を取り除いてあげるにはどうすればいいのか、といったことに丁寧に対処していくことが必要です。ほんの数年前までは、服や靴をネットで買うということはほとんどなかったと思います。一度試してみないと、サイズが合わなかったり着心地が悪かったりするからです。しかし今では、気に入らなければ返品できるといったケアが充実してきており、安心してネットショップを利用しているという方が増えました。また旅行する時の乗物やホテルの予約もネットという方が急増しています。大変有難いことに、60代以上の高齢者の方でも抵抗なく利用してくださる方が増えており、ネット販売は急成長マーケットです。
佐藤
ITインフラという面ではクラウド技術がキーワードになったと良くうかがうのですが、御社の関わり方を教えてください。
志藤
従来、パッケージソフトを導入しようとすると、それに見合うハードまで一緒に購入しなければなりませんでした。クラウド技術というのは、端末機があれば受けたいサービスを受けたい時に受けたい分だけ利用する方法です。パソコンや携帯電話を使って、お気に入りの曲をダウンロードするようなものです。今では多くなりましたが、弊社が、企業向けのパッケージソフトを導入した時にも似たような発想を持っていました。それは、「キャンペーン期間だけのウェブサイトをつくりたい」、「特定の商品を重点的に売りたい」といった顧客の販売戦略に合わせたサービス提供を心がけたからです。
個人投資家へ配慮したコミュニケーション
佐藤
IT企業というだけでは、他の会社も一緒にされてしまったり事業内容がわかりにくい面があります。個人投資家とのコミュニケーションで、工夫されていることがあれば教えてください。
林
IT用語は、専門用語や新しい言葉が多いのでとっつきにくい場合がありますから、できるだけやさしい言葉で説明するようにしています。また、毎月会社のトピックスを「マンスリー・ニュース」として配信していますが、投資家の皆様によりわかり易く見た目を意識して、楽しい感じを出すように工夫しています。08年の東証二部上場時には経常利益が目標の10億円を達成でき、感謝しています。今期の配当も利回り3%になりました。配当は実施せず内部留保するIT企業も少なくありませんが、弊社では、年2回の配当だけでなく、最小単位の株主様にも満足していただけるように、配当同様年2回、クオカード1000円分の株主優待を継続して実施しています。
ITはコスト削減ではなく、売上アップのツール
佐藤
最後に、業界や社会に対する思いなどをお願いします。
林
ITソフトの活用というと、人件費節約を狙ったコストダウンツールといったイメージも強いようですが、弊社は、売上をいかに伸ばすか、企業が抱えている問題を解決するためのECサイト構築に特化した企業です。「自社ブランドファンをもっと獲得したい」といった、企業対象のツールで、金融、小売、食品、メーカーなど多様な業種の500社に使っていただいています。私見ですが、誰もが名前を聞いてわかるブランドを持っている企業は、国内には2000.3000社ぐらいあると思います。その中で、すでに500社に利用していただき、ECサイト構築市場NO.1である実績は、誇りに思いますし、今後も市場シェアを拡大し、さらなる飛躍を目指していきます。
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